Write to think

- ある題材について書くことは,それについて知る最良の手段である - (Gerald M. Weinberg)

評価の評価

人事考課を終えたが、評価方法には納得感が低い。期初に立てた目標に対して実績を評価するのだが、期中にあった人事異動などのために状況が変わり、仕事の負荷が非常に大きくなった。求められる役割も広がった。そんな中では、期初に目標どおりに行動することが現実的に困難な状況になった。
 
期初に設定した目標に対して実績を評価する。シンプルで普通のことのように思える。また目標を設定する時点で、評価をなるべく公平に客観的に行うためという理由で、定量的に測定できる目標を設定する。これも一見合理的なように感じられる。
 
しかし、ともすれば評価しやすいことが目的化した目標設定になりかねない。それが会社の目標や重要な事項に一貫していなければ、仕事で優先するよう求められることと個人の目標のベクトルが食い違うことになる。日々においては当然仕事上で重要なことを優先する。もしそこで、自身の評価基準を優先し、求められる仕事は自分の評価に直結しないという理由で後回しにすれば、会社にとっては悪影響だ。個人の評価を極大化させることが、全体最適に一貫しなければならない。また期中に会社や部署の状況が変わることはよくあることだ。そうすると、個人に求められる役割も変化してくる。しかし期初に立てた目標が硬直的であれば、期中に生まれてきた新たな役割に対応してベクトルを変更した個人が、評価の際に期初の目標とは違った方向に進んでいることになる。すると、評価基準を柔軟に変更しなければ、組織に対しての貢献が評価されず、不公平感を感じるだろう。
 
したがって、個人の人事評価方法は組織および企業の成果や方針と一貫していなければならない。また、個人が公平で正当な評価方法であると納得できるものでなければならない。
 
このような評価方法を構築するためには、とにかく実験を重ねるしかない。現行の評価制度を評価し、進化させる。人事部だけが評価するのではいけない。部署が変われば状況も変わる。その評価制度の中に置かれる者すべてに評価する権利があり、幅広く意見を集めなければならない。
 
完全な制度はない。なぜなら、実験を重ねて進化していく間に、人も環境も変わるからだ。それでも最善を追求しなければならない。組織は人なり。人のパフォーマンスが組織の成果を形作る。人が最高のパフォーマンスを発揮し、成長を続け、チームワーク良く働けるような組織を作るための人事評価制度が必要だ。
 
併せて昇進や外部人材を含めた管理職登用の制度、基準も極めて重要である。管理職がダメだと、部下の士気は上がらない。チームワークも良くならない。管理職は組織のパフォーマンスに責任をもつ。極めて重要な役割である。組織のパフォーマンスを最大化すること、それも自分の部署だけではなく他の部署とも連携し、全体最適を優先できる者でなければならない。その責任を果たさない者に、権限を与えてはならない。
 
今回は人事関係の制度について考えたが、あらゆる制度は全体最適に通じている必要があり、またそのようになっているかを絶えず評価され見直され続けなければならない。