Write to think

- ある題材について書くことは,それについて知る最良の手段である - (Gerald M. Weinberg)

推敲は音読から

仕事柄、広報物の文章を書くことが多い。しかし限られた時間の中で、紙幅に合わせて、正しく分かりやすく、そして美しく仕上げることはそう簡単ではない。そこで、文章を推敲する力をつけるために、『文章添削の教科書』(渡辺知明、芸術新聞社、2016)という本を手に取った。
 
本書の中で推奨されていることの一つが、「音読」だ。文章を推敲、添削するときに音読を取り入れると、まず正確に読むことができるようになる。こう聞くと「わざわざ声に出して読まなくても」と思ってしまうが、黙読の場合、案外無意識のうちに一部を読み飛ばしていたりする。自分の読書を思い出してみると、たしかに、ただ単に文字列を目で追っているだけで、気が付くと全く読んでいない(意味が頭に入ってきていない)ことがある。文章を推敲、添削しようとするなら、そんな読み方ではいけない。まず、正確に読むことができる読み方を実践すべきだ。それが音読なのだ。
 
それでは音読によって文章を正確に読んでいくことで何がわかるのか。それは5つあるという。
1) 誤字・脱字がわかる
2) 句点で文の長さがわかる
3) 読点で文の区切りがわかる
4) 語句と語句との関係がわかる
5) 文のリズムのよさがわかる
 
この5つが適当に直されるだけで、文章はずっと読みやすく、わかりやすくなる。
 
推敲や添削の質を上げるためにさらに付け加えるなら、意味の正確性の確認が挙げられる。そしてこの基本となることも、まず今書かれている文章のそのままを正確に理解し、それがどのような意味を成すのかをきちんとたどることだ。
 
音読は、文字を言葉にする。言葉になったとき、人は意味を理解する。文字がどのような言葉になっているかを確認するために、音読は効果的なのだ。